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養老センセイ 人体の不思議展に決別 だが、話題のDVDには賛同 [IT業界日記]

週刊現代2006/6/4によれば、養老センセイは「人体の不思議展」の賛同者から外れるらしい。
同記事をまとめると日本での「人体の不思議」展は、

1.株式会社日本アナトミー研究所スタッフの安宅克洋氏が主催
ちなみに、運営は株式会社マクローズ jintai.co.jpのwhois での登録も同社。マクローズはイベント運営/広告の会社らしい

2.当初は、Hagens 博士とタイアップしていたが、運営収入の興行料支払いに関して博士に未払いを指摘され、養老センセイが両者を取りなした
3.その後、日本アナトミー研究所は、Hagens博士の”死体”ではなく、”中国の南京蘇芸生物保存実験工場直輸入”つまり、Hagens氏のノウハウをパクったと思われる死体を使って興業を再開。これが横浜の展示

Hagensと古くからの友人である養老センセイは激怒し、名前貸しをやめることにした

という経緯らしい。展示の内容に大差ないんだから、儲かるビジネスにありがちなのれん分け問題に見えるのだが、養老センセイによればHagens氏の死体は由緒も正しいが、南京の研究所の死体は、出所不明だからなんだそうな。この手の倫理を今更持ち出すのはどうかなぁ。

そもそも、中国に死体工場を設立したのはHagens氏であり、ノウハウを盗まれ、ビジネスを乗っ取られ、知的所有権を尊重されないってのは外国企業がしでかす中国進出の典型的失敗で、いまさらという気がしないでもない。

一方、由緒正しい死体を活用するHagens氏の日本展開の次の一手は解剖DVDの発売らしい。養老センセイもこちらには相変わらず賛成らしい。

http://www.dex-et.jp/Ncontents/dvd/dex_dvd0053.htm
黒い帽子をかぶって行う解剖かぁ。
よく見ると、イギリスのチャンネル4で放送された番組をDVDにしたもののようだ。なんと勇気あるサイエンスあふれたチャンネル! 放送当時問題にならなかったのか調べると

ちゃんと社会問題になってました。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/tv_and_radio/2280365.stm

さて死と科学の間には倫理の壁が横たわる。

幕末の腑分け、ルネサンスの人体模写。後世の話として聞くとダビンチや杉田玄白は高貴な志を持っていたように思われる。だが対象は死刑囚であり、中国の死体工場と大差あるまい。ゆえにリアルにその場を見た人々にはたいそう奇異に映ったであろう。
時代背景がチガウとはいえ、果たして杉田玄白の好奇心は高貴であり、大衆のそれは下劣なのか、いや、まぁげすなんですが、死体展示を肯定する以上、清濁併せ飲むべきだろう。

週刊現代の記事の中で養老センセイは「死体展示は本来学会など非営利で行うべき」と言っているが、デックエンターテーメント社が営利目的で発売するDVDに賛同するのはなぜなのか?

学問は知りたいという欲望に突き動かされてするものであろう。倫理的にきわどいものであっても興味を持っちゃうのがガクシャであり、知的欲求でコーフンしてる姿は、法を犯さない限り、その隣で性的にコーフンする死体愛好者のオッチャンと差異はなかろう。欲望に崇高もなにもなかろう。

知ることがエンターテーメントであるという単純なことすら象牙の塔に奉られていると忘れてしまうのであろうか?そんなことだから、大学の講義はツマランのだよね。


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身長マン

こんにちは、はじめまして。
興味深い記事をありがとうございました。

ちょうど大学のゼミで人体解剖などの話題を扱っていたので参考になりました。

また寄らせてもらいますので、これからも頑張って下さい。
by 身長マン (2008-03-28 23:25) 

Hiroshi

こんにちは、倫理と科学はきわどい話題ですよね。是非大学のゼミのほうもがんばってください。
by Hiroshi (2008-04-04 16:55) 

Nao

今更なコメント申し訳ありません。検索して引っかかりました。

ハーゲンス氏と養老センセイは生前の献体意思の確認できないご遺体を展示する事に反対なのだと思います。
故人の意思に従って、しかも、医学の発展や医学に対しての理解を深められるような活動には賛成なのだと思います。

アメリカでも中国製のプラスティネーション展示の人体について検体意思が確認出来ていないと問題視されているらしいですね。こういう問題が早期に解決するよう願っています。
by Nao (2012-01-11 17:32) 

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