「土地の値段はこう決まる」 井上明義 朝日新書 [乱読三昧]
不動産鑑定の三友システムアプレイザル
http://www.sanyu-appraisal.co.jp/comp/syacho.html
の創業社長さんの書いた本。
「土地は五年で半額になる」と、ここ二十年来ずーっと主張している人で、今後五年間でもやはり半額になるそうである。このこと事態は、上下動のある市況で同じことを言っていれば当たることもあり、それが激変期にあたれば注目されるということだ。ただ、氏の見方によると今後五年間の下落は、需要主体の回復局面が来ずに一時的な開発ブームにあおられてた都心の高額マンションが、実は、その開発業者が自転車操業状態であるにもかかわらず自らも止められない過剰供給をトリガーとして起きるという。
また、不動産ファンドの登場も価格の上下動の原因となると考えているようで、この指摘はもっともである。
ところで、この本でおもしろいのは後半の不動産鑑定業界の話であろう。井上氏は役所/公共を主体とする顧客構造を持つ業界で、それまで顧客にならなかった金融機関向けの簡略化され、安価なシステムを提案し業績を伸ばしたようであり、どんなニッチな業界にも部外者の参入による価格破壊と業界の改革があるのだなと感心した。「イノベーションのジレンマ」っぽい話である。
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