生命力の強さが裏目に 哀れなゴキブリの昆虫脳 [IT業界日記]
脳関連の本を良く読んでいるのであるが、fMRIや赤外線トモグラフィーによる、いわゆる脳の活性領域研究ってのはよくよく考えるとパソコンの基盤を赤外線写真で観察して、この発熱している部分の機能がコレコレみたいな、研究といえば研究だが、ホントにそう言えるんかいな?的なものが多く不満であった。反面、利根川氏のような分子生物学的アプローチの場合、脳間物質と機能の関連はダイレクトなのだが、マクロな働きが見えてこない。
その点、
は、せいぜい一ミリ立方の虫の脳が対象であるため、感覚器官、運動機関と神経系との関連がダイレクトであり大変おもしろく読めた。
ちなみに、知らなかったのだが、バッタは複眼の他に、明暗を主に感受する単眼を持っており、この単眼による地平線センシングと触覚による風の方向の検知により飛翔時の姿勢コントロールをしているらしい。三半規管のようなジャイロセンサー的姿勢検知ではないのだ。
以前取り上げた、高価なジャイロセンサーを用いない日曜大工ミサイルと同じ仕組みだ。
http://blog.so-net.ne.jp/hiroshicom/2006-07-25
また、著者は、昆虫の画像学習能力を分析するための対象としてゴキブリを選んでいるのだが、その理由が脳に損傷を与えても丈夫で死なないという理由だからゴキブリもとんだ災難だ。
昆虫脳は、脳細胞の数もたかだか100万個らしいから、素子単位での協調動作に対する動的な解析が待たれるところだが、結果を読むのは楽しいのだが、日夜ゴキブリに学習訓練したり、ゴキブリの脳に微小電極を差し入れている研究者ってばたいへんだなぁ。
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