恐怖の存在 マイクル・クライトン [乱読三昧]
「プレイ」以来久しぶりにマイクル・クライトンの作品を読んだが、小説と言うより、小説というスタイルを借りたクライトンのエセ科学、スタイル自然保護派批判という感じの作品だった。
地球が温暖化しているという証拠はない
ましてや二酸化炭素がその原因であるという論拠もない
海面の上昇も明確な証拠はない
などチキュウにヤサシイ人たちには刺激的な論説が随所に挟み込まれている。クライトンの見解によれば、我々が地球温暖化と呼んでいる現象の多くは、単に都市化に伴う都市周辺部の温暖化と考えられると。
個人的には同感である。どうも、昨今の環境対策ブームのウラにはキリスト教的原罪論(ヒトは罪を犯した存在である、文明/知識=アダムのリンゴ)からの「悔い改め(悔い改め二酸化炭素の排出を抑制せよ)」、そして、野蛮な民族にタイする布教(遅れて工業化する後進国もCO2の排出を抑制せねばならない)という構図が透けて見えて仕方がない。しかも悪に対する戦いであるから、カルト的であり論拠も証拠も吟味されないのだ。
小説としては、上巻たありまではだれる展開だが、下巻からはスピードも増して読み切れる。
この本の内容に関しては、各種反論サイトが出現しているらしい。環境保護推進派のヒトに「いゃー、この前、マイクル・クライトンの環境問題扱った作品読んだよ」と話を振って、アツクなるそのなり具合によりカルト度を識別する、そういった楽しみ方をする本なのかもしれない。
反論URL
http://www.brookings.edu/views/op-ed/fellows/sandalow20050128.htm
日本語訳
http://www.pewclimate.org/
日本語訳
日本語訳まで用意するとは予算が潤沢です事っw
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